今回は同一棟増築を行う際に必要な図書や基準について解説します。
※別棟増築をする際の基準についてはこちらをご確認ください。
前提条件
同一棟増築を行う場合、建築物全体が現行法の建築基準法に適合していることが条件になります。
この建築基準法に適合していることを確認するために下記の資料が必要になります。
- 検査済証(検査済証がない場合は、行政庁に発行してもらえる「台帳証明」でも可)
- 既存部分の図面(各基準を満足しているかの確認のため)
- 増築部分の図面
この中で特に大切な資料が検査済証です。
別棟増築を行う場合には検査済証が不要になる事例がありますが、同一棟増築を行う場合には既存部分の適合性を示す必要があり、検査済証が国土交通省が指定する資料のため、民間の指定確認検査機関に増築申請を行う場合には検査済証が必ず必要になります。
行政庁に建築確認申請を提出する場合には不要になるため、検査済証がない場合は行政庁に相談をする必要があります。
増築方法
増築を行う場合には3つの方法があり、増築方法により既存部分への遡及が変わります。
- 構造上一体の増築
- exp・jにて構造上別棟での増築
- 庇などが重なり、機能上一体の増築(意匠上・構造上は別棟)
構造上一体の増築の場合は既存部分の状況に係わらず、増築部分を加味した構造図書が必要になる事例がほとんどです。
それ以外の場合は、下記で説明する既存不適格に該当する場合には、既存部分の構造関係図書が必要になります。
既存不適格の適用年数
建築物の規模を問わず、同一棟増築を行う場合には構造関係図書が必要になります。
原則、建築物を現行法に適合させる必要がありますが、建築物を建築した年数により既存不適格に該当する可能性があります。
既存不適格に該当すると、構造関係規定は現行法に適合させる必要はなく、構造関係規定の適用除外を受けることができます。
既存不適格に該当するかの指標として下記の通りです。
4号建築物 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
~昭和56年6月 | 既存不適格 | 既存不適格 | 既存不適格 |
~平成12年6月 | 既存不適格 | 既存不適格 | 既存不適格 |
~平成19年6月 | 既存不適格 | 既存不適格 | |
平成19年6月以降 |
既存不適格に該当する場合は、既存不適格調書という資料を建築確認申請時に提出する必要があり、既存不適格調書の適用区分に応じた構造関係資料が必要になります。
既存不適格に該当せず、構造上別棟の増築を行う場合には、既存部分は適合しているとみなして、既存部分の構造図書は不要になります。
また、既存不適格調書を用いて、必要な構造関係資料の説明は別の記事で解説します。
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